債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)とは?メリット・デメリットを比較。 (更新日: 

  • HOME  >  
  • 債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)とは?メリット・デメリットを比較。
【PR】
債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)とは?メリット・デメリットを比較。

債務整理とは、返済が困難になった借金を減額、または免除できる法的制度で、大きく「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。
任意整理は裁判所を介さずに借金の利息や遅延損害金をカットするよう交渉する手続きで、個人再生と自己破産は裁判所を介して、それぞれ借金を1/5に減額、全額免除する手続きです。
(※任意整理と似た方法で特定調停というものがありますが、成功率が3%と低いため今回は触れません。)

債務整理をすると年金の受給ができなくなるとか戸籍に傷がつくとか言われることがありますが、そんなことは一切ないのでご安心ください。
また、会社を解雇されることも基本的にはありません。

しかし、債務整理にはもちろんデメリットもあり、「任意整理」「個人再生」「自己破産」それぞれのメリットとデメリットが多少異なります。

メリットはやはり借金が減額、または免除になることですが、借金が全額免除になる自己破産をしたとしても、そのデメリットは実は借金で困っている多くの人にとってはそれほど大きなものではありません。

あなたにどの債務整理が向いているのか、そのメリット・デメリットを債務整理の種類別にご紹介します。

任意整理

裁判所を仲介せず弁護士や司法書士が債務者の代理人となり貸金業者と交渉し、原則として将来の利息をカット、元本を3年程度で分割返済する内容の和解を結ぶことを任意整理と言います。
債務整理の中で、一番利用者が多い解決方法です。

自己破産や個人再生とは違い裁判所が介入することなく、債権者と交渉するため手続きが比較的簡単で、裁判所に提出する書類や法的手続きを必要としません。

任意整理のメリット

任意整理のメリットについて、まず、将来にわたり利息がカットされるように交渉されるため、返済額を大きく減らせる可能性があります。
また、任意整理も手続きに入り次第、債務の取り立てを法的にストップできるため、精神的にも楽になります。手続きが完了するまでの期間は、3~6ヶ月程度です。

自己破産と違い、持ち家は守ることができるため、持ち家がある場合は任意整理がオススメです。

また、債務に保証人を立てている場合は「自己破産」すると保証人に迷惑がかかりますが、任意整理の場合は整理する債務が選択できるため、できるだけ保証人に迷惑をかけないような債務整理が可能です。
保証人を立てている場合も任意整理がおすすめです。(※任意整理は保証人を立てていない債務のみを整理対象にできます。)

将来の利息免除、借金の元金減額

任意整理では元金のみの返済で支払契約が完了するように交渉するため、将来の利息や遅延損害金などの支払義務がなくなります。
金利の高い借金がある場合は返済額を大きく減らすことができます。
また、基本的には元金の減額は行われませんが、やむを得ない経済状況によっては交渉できないこともありません。

手続きに入り次第、債務の取り立てを法的にストップできるため、精神的にも楽になります。

完済の目途が立つ

利息の免除や長期分割返済による毎月の返済金額減額など、債務者にとって有利な交渉を行うことが任意整理の目的のため、完済の目途が立つように、依頼した法律の専門家と相談しながら交渉を進めていくことが一般的です。

取り立てや返済をストップさせられる

任意整理を依頼すると、債権者に向けて受任通知が送付されるため、取り立てや返済をストップさせることが可能です。

受任通知を受取った債権者は、取り立てや返済を要求することが法的に禁じられています。

持ち家を守れる

債務整理と一言で表しても個人再生や任意整理など、様々な方法が存在します。
その中でも、自己破産を選んでしまうと、自己の財産をすべて返済にあてることになります。

しかしながら任意整理であれば、自己の財産を失うことなく、持ち家として従来通り利用することが可能です。

そもそも、任意整理の対象には住宅ローンは含まれないため影響しないためです。
任意整理後も今まで通り、住宅ローンを支払い続けることになります。
住宅以外でローン返済中の財産(自動車やブランドバッグなど)は、任意整理の対象に含めると没収されてしまいます。

それは、ローンで物を購入すると、ローンが完済されるまでは所有権留保となり、ローン会社や販売者側に所有権が残るためです。
没収されたくなければ任意整理の対象に含めずに、今まで通りに支払い続ける必要があります。

周囲に秘密で進められる可能性がある

一般の方が、任意整理を行う大きな理由は、裁判沙汰にしたくないということです。

任意整理であれば、近隣住民や職場の人間に、債務整理を行っていることを気づかれないため、多くの方が裁判の必要ない任意整理を選ぶのです。

保証人に迷惑が"あまり"かからない。

任意整理は、整理する債務を選択できるので保証人を立てている債務以外を債務整理の対象として、保証人に迷惑をかけないようにできます。

また、保証人を立てている債務も債務整理の対象としたい場合は保証人を連名にして一緒に任意整理することで、整理後、しっかり主債務者が返済していけば保証人に債権者からの取り立てがいくことはありません。

しかしその際、信用情報(ブラックリスト)には保証人も記載されてしまいます。

任意整理のデメリット

任意整理のデメリットは、信用情報や官報に掲載され、5年間はローンなどの審査に通りにくくなります。
メリットでもご説明した通り、保証人を立てていない債務のみを整理することで保証人には迷惑をかけないことが可能ですが、逆に保証人を立てている債務が多い場合は、あまり返済額を減らすことができません。

ただし、住宅ローンや奨学金、社会福祉資金など、元々金利の安い借金は任意整理しても借金が減らないので意味がない可能性があります。
詳しくはこちらをご確認ください。

また、任意整理には法的強制力がないため、任意整理になかなか応じてくれない業者もあります。
任意整理に応じてくれない場合は、元金を大幅に減額(最大80%減額)できる個人再生か借金を全額免除できる自己破産をすることになります。

任意整理はこんな人にオススメ!

・高金利の借金がある。
・保証人に迷惑をかけたくない。
・持ち家を守りたい。
・返済額(利息や遅延損害金)を減らしたい。

任意整理にかかる費用については下記ご確認ください。

債務整理の費用って平均相場はいくら?弁護士費用を安く抑えるために。 債務整理の費用って平均相場はいくら?弁護士費用を安く抑えるために。

個人再生

民事再生には「民事再生」と「個人民事再生」があります。
ここでは企業の経営再建を目的とした民事再生ではなく、主に借金総額が5,000万円以下の個人の方を対象とした手続きが簡略化された「個人再生(個人民事再生)」のご紹介をします。

個人再生のメリット

個人再生を行えば、借金の総額を1/5(最大で1/10)まで免除されます。
免除される額の下限は100万円です。

仮に債務額300万円の場合、5分の1になるからといって60万円になるわけではなく、限度額の100万円になります。

免除された後の残りの借金を3年から5年間の間で分割返済をしていきます。
これが個人再生です。

また、自己破産をすると持ち家は没収され失ってしまいますが、個人再生であれば持ち家は没収されない、というのが最大のメリットです。(住宅資金特別条項)

個人再生はマイホームが守りながら、住宅ローン以外の借金を5分の1と大幅に減らせる唯一の債務整理方法です。
減らせる下限は100万円までと決まっていますが、任意整理や特定調停では借金の元金が減らせません。

減らした借金を3年から5年間にわたって長期で分割返済が可能です。

また、個人再生の手続きが始まると金融機関からの取り立ての電話や手紙などの催促が一切行われなくなり、返済も一時的にストップされるため支払いの心配をする必要がありません。

個人再生のデメリット

個人再生はもちろん、デメリットも存在します。

デメリットとしてまず挙げられるのは、個人信用情報(俗に言うブラックリスト)に個人再生を行ったという情報が5~7年間、掲載されてしまうことです。
これによってクレジットカードやローンを組んだりすることが今後、数年間は不可能になってしまいます。

また、官報と呼ばれる国が発行する広報紙に「個人再生をした人のリスト」という形で自分の名前と住所が記載されてしまいます。
そのため、自分が個人再生を行ったということを誰でも調べることができるようになります。

手続きが完了するまでにだいたい1~2年必要で、時間がかかるというデメリットもあります。

借金が5分の1に免除されるということから、個人再生が適用されるための条件は厳しく設定されており、入念に調査されます。

今後、きちんとした継続的な収入があるのかどうか、生活費を使いすぎていないかなど、ご自身の生活について詳しく調査をされますので、無駄遣いをしていると個人再生を行うことはできません。

また、個人再生に必要な費用は他の債務整理に比べて高額になります。
現金を出さなければならないこともあるため、多少の貯金がないと個人再生できない場合もあります。

また、家を守れるということは逆を返せば、住宅ローンは5分の1にできないということです。
住宅ローンが自分の経済状況を圧迫しているという場合は、個人再生をしても意味がない場合もあります。

個人再生手続きの進め方と流れ

個人再生は、個人事業主やサラリーマンなどの個人であることが条件です。
法人名義で借りている借金などは対象ではなく、住宅ローン除いた債務の総額が5000万円以下の人が対象となります。
(※法人が利用する場合は個人再生ではなく「民事再生」になり、手続きも複雑で費用も数百万円と高額になります。)

将来にわたって継続的に収入が入ってくる見込みがあることを確認できれば個人再生が行えます。

個人再生の大まかな流れは下記のようになります。

  • 相談・受任
  • 債権調査
  • 書類準備
  • 申立
  • 裁判官もしくは個人再生委員との面談(省略される場合あり)
  • 個人再生手続開始決定、試行積み立て開始(タイミングは裁判所による)
  • 債権届出(債権者が裁判所に詳細な借金の額を報告する)
  • 再生計画提出(弁護士または司法書士が作成)
  • 再生計画認可
  • 支払い開始

手続きが完了するまでにだいたい1~2年かかります。 申立までの流れは自己破産と非常に似ていますが、申立後の手続は異なります。
依頼者にとって自己破産と大きく異なるのは主に下記の3点です。

面談の日程

自己破産の場合、裁判官や管財人との面談は「破産手続開始決定」の後ですが、個人再生の場合は「個人再生手続開始決定」の前に面談が行われます。

個人再生委員が専任される場合は個人再生委員と、されない場合は裁判官との面談になりますが、裁判所の運用によっては裁判官との面談は省略されることもあります。

履行テスト

個人再生は手続後に毎月決められた額を弁済していくことが前提の手続です。
その弁済が可能かどうかのテストのために、個人再生手続開始決定後、履行テストとして個人再生委員、もしくは申立代理人に毎月積立を行うことになります。

その積み立ての状況を見た上で、「問題なく弁済していけそうだ」と裁判所が判断して初めて再生計画が認可されるのです。
積み立ての開始時期は裁判所によって異なりますが、早いところでは個人再生手続開始決定後1週間以内に第1回の支払いが始まることもあるので、あらかじめ弁護士(または司法書士)に時期について確認をしておきましょう。

認可決定後の支払い

基本的には3ヶ月に1回、3年間(特殊な事情がある場合は5年)支払うことになります。
支払いが頓挫してしまった場合、自己破産に移行することになってしまいますので、注意しましょう。

なお、手続の流れや必要書類は裁判所によって異なります。
実際に申立を行う場合は依頼した弁護士や司法書士の指示に従うようにしてください。

個人再生が失敗しないためにやってはいけないこと

ウソをつく

裁判所や弁護士、個人再生委員などにウソをついてはいけません。
財産の状況や家計の収支状況など全て正直に話しましょう。

また、預金口座から現金を移動させるなどのいわゆる財産隠しは、詐欺破産罪に問われるおそれもありますので絶対にしてはいけません。

もちろん、保証人に迷惑をかけたくないために保証人のいる借金だけを隠してもいけません。

再生計画案の提出期限を守らなかったり履行テストの積み立てをしない

個人再生手続きが開始され裁判所から送られてきた進行予定表どおりに、再生計画案の提出期限を厳守してください。

進行予定表どおりに再生計画案を提出できなければ、再生手続廃止の決定がされることがあります。

また、6ヶ月程度行われる履行テスト(積み立てトレーニング)がクリアできないと、再生手続が不認可になる可能性があります。

特定の債権者にだけ優先して返済する

個人再生には債権者平等の原則というルールというものがあり、全ての債権者に平等に返済する必要があります。

友人や保証人のいる借金など、特定の債権者にだけ優先して返済(偏頗弁済)することをすると、偏頗弁済した額が返済額にさらに加算され、返済総額が上がってしまうことになります。

個人再生はこんな人にオススメ

・借金に保証人を立てていない。
・借金を大きく減らしたい。
・持ち家を守りたい。

以上、個人再生は数ある債務整理の方法の中でも、借金の総額を5分の1まで減らしつつ、持ち家も守れるという稀有な方法となっています。

個人再生は手続きに時間がかかったり、個人再生を認証してもらうまでの要件が厳しかったりと、いくつかのハードルはありますが、住宅や土地などの不動産を守りながら債務整理したいという方には個人再生がお勧めです。
ただし、保証人を立てている場合は保証人に支払い義務が移行し、大変迷惑をかけてしまいます。

また、個人再生を認められるための要件のチェックは厳しく、将来にわたって継続的に収入がきちんと入るのかどうか、その収入をこの先、計画的に使っていけるのかという家計のチェックなどが非常に厳しくなります。

そのため、個人再生を行おうと思ってもなかなか承認されない場合もありますので、個人再生をしたいと思っている方は、事前にご自身の家計や支出内容をチェックしてみてください。

また、個人再生の費用については下記ご確認ください。

債務整理の費用って平均相場はいくら?弁護士費用を安く抑えるために。 債務整理の費用って平均相場はいくら?弁護士費用を安く抑えるために。

自己破産

自己破産のメリット

債務が免除される

自己破産をするメリットで一番大きいのは裁判所からの免責が許可されれば債務が全額免除される、つまりどんなに借金があっても0にできます。
免責決定が出た後については、もちろん借金の返済義務はありませんし、その後頑張って働いて高収入を得て、貯金を増やしても何の問題もありません。
貯金が増えたからと言って、免責された借金を後から支払う必要も当然ありません。

取り立てがストップする

借金が法的に免除されて返済義務がなくなるため、当然に取り立てもストップします。執拗な取立てに悩んでいた方は、精神的にも楽になります。

自己破産のデメリット

自己破産をすると戸籍に傷がつく、会社を解雇される、年金の受給資格がなくなる、健康保険が使えなくなるなど、根も葉もない噂がありますが、そのような事は一切ありません。

また、ブラックリストに掲載されるのも本人のみで家族や親族の情報が載ることはありません。
では具体的に自己破産についてのデメリットについて見ていきましょう。

金融機関のブラックリストに掲載される

銀行はもちろん、消費者金融、カードローン、自動車ローンなども一切利用できなくなります。
場合によっては、携帯電話のローン契約なども利用できない可能性もあります。
通常、掲載期間は5年~7年です。
(※・・・2022年11月以前の場合は、5~10年程度)

官報に掲載される

官報とは国が発行している機関紙で、法律や政令などの広告をその目的としています。
この官報に、自己破産をすると氏名や住所などが掲載されてしまいます。

官報に掲載されると、周りの人や会社にバレるのでは?
と心配する方がいますが、バレる可能性はそれほど高くありません。

官報を購入するか、図書館に行って閲覧する、またはインターネットでも官報は閲覧できますので、閲覧・検索した場合にのみバレる可能性があります。

ほとんどの方は官報をチェックする習慣はないと思います。
バレる可能性はとても低いですが、もちろんバレない保証はありません。

また、官報はいわゆる闇金の方がチェックしている可能性があります。
氏名・住所が掲載されますので、その直後から闇金からダイレクトメールが届いたり、勧誘されたりする可能性が高くなります。

官報(インターネット版)

一部の職業に就けない期間がある

士業(弁護士・公認会計士・司法書士・行政書士・社会保険労務士など)や一部の職種(宅地建物取引主任者・教育委員会委員・警備員・保険の外交官など)で、職業に就けない期間があります。

詳しくはこちらで紹介しています。

資産が没収される

不動産だけは売却したくない!
などの希望は通りません。マイホームやマイカーなど全て売却されて返済にまわされます。
しかし、最低限の生活に必要な財産(20万円未満)は手元に残すことが可能です。

連帯保証人に効果が影響しない

自己破産をしても、連帯保証人にはその効果が影響しません。
つまり、自己破産後の借金は全て連帯保証人が支払わなくてはいけません。

ご両親やご家族、ご友人に連帯保証人をお願いしていた場合には、自己破産決定後、その方々が全て支払わなくてはならないので大変迷惑がかかります。
保証人が支払えない場合は、保証人も自己破産などの債務整理をすることになります。

税金は免除されない

住民税や国民健康保険税などを滞納している場合は自己破産後も支払わなければなりません。
ただし、分割など支払方法を変更してもらえる可能性が高いので、役所に相談してみてください。

以上が自己破産に必要な条件や、メリット・デメリットです。
人によっては自己破産後に制限されることやデメリットがそんなに大きくない場合もあるでしょう。

自己破産を検討している場合には、まずは司法書士や弁護士に相談し、自己破産できる条件なのかどうか、その他の方法(任意整理、個人再生、など)があるかどうか、アドバイスをもらってください。

法テラスなど、弁護士報酬の支払方法等の相談に乗ってくれるところもあります。
弁護士費用、手続き費用は同時廃止の場合(処分する財産が何もない場合など、自己破産の開始決定と同時に破産を終結させる手続きのこと。)、管財事件(処分する財産がある場合など、裁判所が管財人を選任した場合)など、状況により異なります。

自己破産できる人の条件

自己破産とは、裁判所に申し立てをして、全ての債務(借金)を免除してもらう手続きです。
もちろん、誰でもどんな場合でも、債務を免除してもらえるわけではありません。

債務の金額・収入額・財産(不動産や貯金など)を判断材料として、裁判所が決定します。

具体的には、自己破産ができる人の条件は以下のとおりです。

  • 免責は個人であること。
    法人(会社など)は破産をすると、清算(消滅)されてしまうので、免責という概念そのものがありません。

  • 返済不能であること。
    収入がない場合、生活保護を受けている場合などです。
    ただし、一定の収入はあるが借金総額が多額で月々の返済が厳しい場合や、長期的にみても一定額の返済が見込めない場合、また、降格・転職等で給与の手取りが減って返せなくなった場合なども返済不能に含まれます。
    目安としては、収入から最低生活費を引いた金額を基準として、3年程度で借金を返済できるかどうか、となります。

  • 過去に(7年以内)自己破産・民事再生の申し立てをして、免責決定を受けていないこと。

  • 借金を作った理由が不健全ではないこと。
    例えば、借金の全ての理由がギャンブルや浪費である場合や、はじめから自己破産を申し立てるつもりで借金を沢山した場合(詐欺的な場合)などは該当しません。

自己破産の手続き中や前にやってはいけないこと

ローン返済中の資産を売却する

自己破産手続きに入ると、20万円以上の資産は基本的に没収され売却、債権者への返済にまわされます。

お金お作るためにローン中のマイカーを勝手に売却しようとする方がいますができません。

ローン途中の車(所有権留保の車両)の所有権はローン会社にあり、勝手に売却すると横領罪になってしまいます。

通常は車を売却する場合は業者が残債照会をかけて、所有権やローンが残っていないか確認するので、真っ当な業者へは売ることはできないはずですが、闇の違法業者ではあり得ます。

もちろん、ローン会社所有の車がなくなってしまうわけなので、確実にバレます。

預金口座などの財産隠し

自己破産後は財産のほとんどが没収されますが、定職のある方であれば、自己破産後の生活は楽になるはずです。

しかし、経営者の方の場合は自己破産後の再就職が難しいのが現状で、生活が苦しくなるケースが多いです。

このような事情から、自己破産手続前に預金口座などがか一時的に現金を引き出し、お金がないように見せかけて、自己破産手続き完了後に現金を取り戻す、いわゆる財産隠しをする人がいます。

財産隠しは裁判所より自己破産が許可されない「免責不許可事由」に当たる上、詐欺破産罪に取られることも考えられます。

自己破産手続き時には、破産管財人が過去2~3年分の預貯金を全て調べますので、最終的に必ずバレてしまいます。

自己破産手続きの流れ

自己破産手続きの大まかな流れは下記のようになります。

申立後は「同時廃止」のほうが比較的早く手続が終結する傾向にあります。

1. 相談・受任

借入先は漏れのないように全て伝えましょう。
また、「保証人になってくれている人」はもちろん、自分が誰かの保証人になっている場合、その主債務者の名前と住所も必要です。

相談の時点ではわからなくても構いませんが、受任となると通知を送る必要が出てくるので、可能な範囲で調べておくといいでしょう。

また、滞納している税金があればこのときに併せて弁護士(または司法書士)に伝えてください。
破産をしても税金は免責の対象とはならず支払い義務は残るのですが、申立にあたって把握しておく必要があります。

なお、弁護士(または司法書士)に依頼したら、その後借金を支払う必要はなくなり、督促なども止まります。
支払わなくて良くなった借金の分を弁護士(または司法書士)費用の分割払いに充てたりする人も多いようです。

2. 債権調査

弁護士(または司法書士)が「この人の債務整理を受任しました、ついては借金の額や内容を教えてください」という内容の通知を借入先に送り、借金の内容について調査をします。

3. 書類準備

弁護士(または司法書士)が作成すべき書類はもちろん弁護士(または司法書士)が全て準備しますが、本人でなければ取得できない必要書類も多くありますので、それを集める作業はご自身が行います。

自己破産の主な必要書類は下記のとおりです。裁判所によって異なるので、詳細は弁護士(または司法書士)に確認してください。

  • 住民票、戸籍謄本
  • 給与明細2~3ヶ月分
  • 源泉徴収票2年分
  • 所得証明書or非課税証明書
  • 児童手当、生活保護などの受給証明書
  • 家計の状況2~3ヶ月分&対応する水道光熱費・通信費の領収証
    (※月ごとの家計簿のようなもの。依頼者によってはこれを作成する心理的ハードルがとても高く、そのせいで手続が進まなくなってしまうこともよくあります。
    しかし、それで債務整理が頓挫してしまうのは非常にもったいないことです。どうしても家計簿が書けなければ領収証やレシート、通帳引き落としなどを付き合わせて弁護士(または司法書士)や事務員が作成を手伝ってくれることもありますので、頼んでみてもいいでしょう。)
  • 通帳(過去1~2年分の履歴が必要。ネットバンクの場合はプリントアウトする)
  • 保険証券&解約返戻金証明(返戻金証明は保険会社に言うと出してもらえます。代理店ではなく保険会社に直接頼んだ方が話がスムーズです)
  • 不動産登記事項証明書(全国どこの法務局でも取得できます)
  • 固定資産評価証明書(不動産がある市町村で取得)
  • 退職金証明(出してもらえなければ退職金規程の写しでもOKな場合あり、要確認)
  • 賃貸借契約書(居住地の証明と、返還敷金の確認のために必要です)
  • 相続財産、離婚にともなう財産分与などがあれば関係書類(遺産分割協議書など)

4. 申立

書類が全て揃ったら申立をします。
基本的に弁護士(または司法書士)が裁判所に持って行ってくれるので、依頼者が特に何かをする必要はありません。連絡を待ちましょう。

5. 破産手続開始決定

書類の内容に問題がなければ裁判所から「破産手続開始決定」が出ます。

同時廃止の場合はこの後(8)へ。
管財の場合は(6)へ続きます。

6. 管財人弁護士(または司法書士)と面談

管財の場合、破産開始決定と同時に財産を調査する「管財人」が選任されます。
依頼者はその管財人と連絡を取り、財産調査に協力をしなければなりません。

これ以降は依頼をした弁護士(または司法書士)同様、管財人弁護士(または司法書士)とも密に連絡を取るようにしましょう。

7. 管財人が財産調査&換価&配当

管財人は申立時の情報をもとに価値のある財産をお金に換え、必要であればそれを債権者に分配します。
また、それ以外に財産がないかも調査を行います。

なお、財産調査の一環として、破産開始決定が出てから手続が終わるまでの間、破産者宛の郵便物はすべて管財人に転送されます。
急ぎの郵便物が届く予定がある場合などは、あらかじめ受け渡し方法を管財人と決めておきましょう。

8. 裁判所で免責審尋もしくは債権者集会

同時廃止の場合、破産開始決定から1~2ヶ月後に、裁判官と面談を行う「免責審尋」の日時が指定されます。
申立代理人が同席しますので、不安なことがあれば聞いておきましょう。

管財の場合、破産開始決定から1~2ヶ月後に裁判所で行われる「債権者集会」の日時が指定されます。
破産者と債権者、申立代理人と管財人が一堂に会し、現在の手続の状況などを報告します。
「債権者集会」は手続が終わるまで何度も開催されますが、一度で終わる場合もあります。

9. 免責決定→終了

「免責審尋」および「債権者集会」後、特に問題がなければ数日で裁判所から「免責決定」が出されます。
これをもって全ての借金がなくなり、手続が終了となります。

自己破産手続きが完了するまでの期間は、だいたい半年~1年くらいです。シンプルな事案であれば、弁護士(または司法書士)に依頼して2~3ヶ月で全て終了することもありますが、複雑な事案の場合、1年以上にわたることもあります。

なお、手続の流れや必要書類は裁判所によって異なります。
実際に申立を行う場合は依頼した弁護士や司法書士の指示に従うようにしてください。

「自己破産」はこんな人にオススメ!

・借金に保証人を立てていない。
・車や持ち家などの資産がない、もしくは没収されてもいい。
・借金を全額免除してほしい。

自己破産は保証人を立てている場合、支払い義務が保証人に移行し大変迷惑がかかるため、保証人ともよく相談の上判断してください。

自己破産にかかる費用については下記ご確認ください。

債務整理の費用って平均相場はいくら?弁護士費用を安く抑えるために。 債務整理の費用って平均相場はいくら?弁護士費用を安く抑えるために。

債務整理ごとのデメリット比較

債務整理は借金の返済で生活が苦しい方にとってはメリットが大きいですが、人によってはデメリットの方が大きくなる場合もあります。
下の表に債務整理ごとのメリットデメリットをまとめます。

  任意整理 個人再生 自己破産
減額金額 利息分や遅延損害金のみカット 元金を1/5に減額
(※最高1/10)
全額免除
マイホームが守れる ×
保証人に迷惑がかからない × ×
官報に掲載されない × ×
ブラックリスト(信用情報)に掲載されない ×
(※掲載期間は完済後、5年間)
×
(※掲載期間は完済後、7年間)
×
(※掲載期間は、7年間)
手続きにかかる期間 3~6ヶ月程度 1~2年程度 半年~1年程度

各信用情報機関のブラックリスト掲載期間は下記になります。

株式会社日本信用情報機構(JICC)

  • 任意整理・・・ 完済から5年
  • 個人再生・・・ 5年
  • 自己破産・・・ 5年

株式会社シー・アイ・シー(CIC)

  • 任意整理・・・ 載らない
    (※ただし、保証会社による保証履行、代位弁済が行われた場合は、完済から5年)
  • 個人再生・・・ 載らない
  • 自己破産・・・ 5年

全国銀行個人信用情報センター(KSC)

  • 任意整理・・・ 載らない
    (※ただし、保証会社による保証履行、代位弁済が行われた場合は、完済から5年)
  • 個人再生・・・ 7年(※1)
  • 自己破産・・・ 7年(※1)

(※1・・・ 2022年11月4日より全国銀行個人信用情報センター(KSC)の登録期間が10年から7年に短縮されました。)

任意整理ではマイホームなどの財産を守りながら債務整理できますが、元金の減額はされずにブラックリストにはしっかり掲載されるので、債務整理後にちゃんと生活が楽になるか専門家としっかり相談して、どの方法を選ぶか決めましょう。 債務整理ごとのデメリットの比較は、下記の動画が分かりやすいです。

官報と信用情報(ブラックリスト)の違い

信用情報とは各種クレジットやローンなどの個人の取り引きを登録した個人情報で、指定信用情報機関「CIC」、日本信用情報機構「JICC」、全国銀行個人信用情報センター「KSC」の3つの機関がそれぞれ管理しており、各機関で情報を共有しています。

借金の滞納や延滞、自己破産や個人再生、任意整理などの債務整理をすると「事故情報」として掲載されてしまいます。
これが、俗に言うブラックリストです。

一方、官報とは国(内閣府)が発行する機関誌で、行政機関の休日を除き毎日発行しています。自己破産や個人再生をした人の氏名や住所、決定日、債務整理した理由、裁判所名が掲載されており、インターネットや図書館などで誰でも閲覧できます。また全国の指定の本屋さんでも購入できます。
自己破産の場合は破産手続開始決定時と免責許可決定時の2回、個人再生の場合は再生手続開始決定時、書面による決議に付する旨の決定時、再生計画許可決定時の3回掲載さるタイミングがあります。

官報に載ってもローンが組めなくなったりクレジットカードが作れなくなることはなく、厳密には官報に載ることが直接デメリットになる人はほとんどいませんが、 実質官報に載ることはブラックリストに載ることなので、ブラックリストがデメリットとなります。

(※本ページはプロモーションが含まれています。)

誰でも減額できる訳ではありません

まずは匿名で診断、どれくらい借金が減額可能か確認して下さい。
減額診断はこちら

債務整理手数料の安い事務所に無料で診断OR相談できます。

  • 広告
  • 広告
PageTop

関連記事